第13図 図版9
第3節 6号墓
墓は、調査区中央付近の丘陵下段に位置しており、該墓から西側に 11 基(7 ~ 16 号墓、53 号墓)
の墓が横並びで所在する。10 m東側には墓庭を共有する 3・4 号墓が、上段には 5 基(19 ~ 23 号墓)
の墓が横並びして所在した。該墓は、墓室天井の崩落により内部が埋没した状態で発見された。
墓口の寸法は、幅0.7m、高さは不明で羨道の長さは1.0mを測る。墓口の方位は北(N11°W)を向く。
羨道部の内外に拳~頭大の石灰岩の礫石が残存しており、これらは閉塞石の一部と判断された。
墓室は、棚(コ字状)と汁ヒラシからなり、右棚側が半分程消失しているが残存部の遺構形状から 3 類 a に分類できる。平面形は横長の隅丸方形で、寸法は幅 2.8 m、奥行き 1.8 mを測る。墓室内の 埋土から蔵骨器 7 点分と近代磁器(碗・皿等)30 点余の破片が出土し、正面棚中央近くで完形の石 厨子1点が検出された。左棚の側壁には幅 0.6 m、高さ 0.4 mの穴が開いており、隣接する 7 号墓の 墓室に貫通する。穴の大きさは人が行き来するには微妙な大きさではあるが、戦中避難時の拡張が推 察された。該墓については、近代磁器の大量出土や墓室内の攪乱、墓室天井の崩落状況等から戦時下 に避難場所に利用され、爆撃等によって埋没したものと考えられた。
墓の造営年代を明らかにすることはできなかったが、蔵骨器の銘書では「乾隆 31 年(1766 年)」
が確認されている。戦時中の攪乱もみられるものの、墓口幅がやや広く造られていることや積石によ る閉塞、石厨子やボージャー形を安置する状況からすると、少なくとも 18 世紀中頃には墓が機能し ていたものと推察された。
ところで、7 号墓の調査成果については次節で詳述するが、ここでは該墓と 7 号墓、その西隣にあ る 8 号墓を含めた 3 基の墓の先後関係について報告しておきたい。7 号墓は、左右非対称の造りになっ ており、その原因は西隣の 8 号墓に制約されていたことが考えられた。6 号墓と 7 号墓の墓庭につ いてみると、両墓庭の床面で比高差が 0.1 m程あり、6 号墓が低い。墓庭埋土除去後の状況は、6 号 墓の墓庭が 7 号墓の墓庭を削平して構築しているようにみえるため、遺構の重複関係でみると 7 号 墓が先で、6 号墓が後の造墓と判断される状況にある。しかし、逆の説明(6 号墓が先に造られ、墓 庭の堆積土が 0.1 mに達した後に 7 号墓を造墓する)もできるため、7 号墓の墓庭が左右非対称となっ ていることも併せて考えると、6 号墓と 8 号墓が先に存在していて、その隙間に 7 号墓が造られた 可能性が高いと推察された。
図版 12 6号墓 左:着手前 右:完掘後
図版 13 6号墓 1段目左:蔵骨器の出土状況 右:墓口の検出状況
2段目左:6 号墓室及び墓口の検出状況 右:7 号墓室との貫通状況 3段目:左から 6 号墓・7 号墓・8 号墓・9 号墓の完掘後
第 15 図 6号墓 平・断面
石厨子
S=1/80
3m 0
< 墓室横断面図 >
< 平面図 >
<縦断面見通し図>
EL=106.100 m
EL=106.100m
第 16 図 6号墓~8号墓 平・断面
6号墓 7号墓
8号墓
S=1/80
3m 0
< 6号墓・7号墓 墓室横断面図 >
< 平面図 >
EL=106.100 m
(蓋)①つまみ ②文様等 ③調整痕他 (身)①正面示形 ②文様等 ③調整痕他
62
ボージャー形(蓋) Ⅴb 2 .2 2 .6 10.4 .5①無孔宝珠。
③外面:体部回転ヘラ削り、縁部回転 横ナデ。内面:水挽き後、ナデ。つま み:回転横ナデ後静止ナデ。
乾隆三拾壱年/
丙戌七月七日/
洗骨/[当]原に や/祖母/■■
加那
洗骨:1766 墓室埋土
63
ボージャー形(蓋) b 24.2 . 10.2
.0
①無孔宝珠。
③外面:体部回転ヘラ削り、横ナデ。
内面:水挽き後、ナデ。つまみ:回転 横ナデ。
比嘉/同■…/
同…/■…/…
■■
墓室埋土
64
ボージャー形(身) Ⅲ 27.3 32.0 15.2 31.①マド枠:平葺形貼付・1方2方。
②横帯凹1。マド枠下に凹2。底面孔:
円形1個。
③外面:水挽き後、回転ヘラ削り、底 部に糸切り痕。内面:水挽き後、回転 ヘラ削り、口縁近くはナデ、内底外縁 を1.2mm幅でヘラ削り。赤焼の蔵骨 器。
墓室埋土
65
石製家形(蓋)52.0×
35.7 21.4
①つまみ無し。
②屋根:入母屋形。
③内面に横と斜め方向のノミ痕が明 瞭に残る。サンゴ石製。外面全体に 波状の縞模様が見られる。
墓室 正面棚
66
石製家形(身)50.0×
32.6 50.1×
34.7 52.2
①方形穿孔2個。
②正面穿孔部の下に削り出しで柱と 段を模した意匠。脚付4個。
③外面:ノミで削り出し、痕跡を残さな いよう丁寧に調整する。内面:横と斜 めのノミ痕が明瞭に残る。サンゴ石 製。外面全体に波状の縞模様が見ら れる。
1 不明 成人 墓室 正面棚
67
ボージャー形(身)32.5 3 .0 22.1 47.3
①マド枠:唐破風形・1方4円。
②横帯凹3。マド枠上部に縦位の削り で垂木を模した成形。下部に縦位の 削りと鋸歯文。底面孔無し。判有り。
③外面:器面全体にナデ。内面:水挽 き後、回転横ナデ。
墓室埋土
6
ボージャー形(身) 22.0②横帯凹2。底面孔:小円10個③外 面:器面全体にナデ、胴下部回転ヘラ 削り。内面:水挽き。
墓室埋土
6
転用
(小壺・身)
12.4 6.0 13.
③内面:水挽き。雑な成形。
③外面:水挽き後、ヘラ削り。口縁近く はナデ調整。付着物多い。
墓室埋土
70
(壺・身)転用42.
2 .4 17.5
③内面:水挽き後、斜位のナデ調整。
ヘラ削り。指押さえ痕。
③外面:縦位に丁寧なナデ調整。底 部近く泥釉?2~3mmの白色粒含む。
墓室埋土 連
番
挿図番号 図版番号
型
名称 式 銘書年代 出土
地点 被葬者
人数 性別 年齢 銘書
観察所見